UTAU その2

うーん、どうしたものか。

UTAU

UTAU

 これ聴いてしまうと、他の音楽が全部暇つぶし程度にしか感じなくなってしまう、という。悪い癖。ずっと聴いてきた『SMOOCHY』からの二曲が入っていたり、しばらくここから抜け出せなくなりそうな感じ。
 特に「TANGO」のほうは、別に誰と共有するでもなく、自分で勝手に感じ入って、どれだけ他人に評価されているかも気にしないで、ただ好きで聴いてきた、という経緯のある曲で、こういう最高の形で二人の作者に取り上げて貰えると、なんだか御褒美を頂いたような気分にすらなるのであった。

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 大貫さんの不思議な歌い方は、いったいどこから出てくんだろ。
 聴いていると、/b/の音が、スペイン語などカタロニア〜イベリアあたりのロマンス語みたいに、有声の両唇摩擦音になっている(日本語の「ふぁ」行の濁ったやつ)。いわゆる鼻濁音「か゜」(音声としては/nga/)も良く出てくる。


 教授のピアノ、西洋音楽のピアノ歌曲の伴奏ががそのまま進化したような、現代的かつ(西洋クラシック的にみて)非常にオーソドックスなアレンジが多く、聴いているとシューベルトとかの歌曲のデュオリサイタルの情景が思い浮かぶことが、度々ある。
 あの辺の音楽、興味がありつつ全然手を出さずじまいなのは、矢張り、言葉と情景の時代性が十分に通じない、というのがその原因かもしれない、とかこれを聴きながら思ったのであった。
 シューベルトとか、あとは例えばジョビンなんかも、リアルタイムで聴いていた人たちってのは、自分たちに近い言葉で、同じ時代の言葉を聞いて、こういう感慨に浸りながら聴いていたのかなぁ、とかなんとか思ってみたり…。なんかガラにもなく、日本に生まれたことを有り難く感じたりするのであった。

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 再生装置は、EJ800 > SE-U55SX > SRS-Z1だけど、十分良い仕事をしてくれている。上述「ぶぁ」行の音も、息の音の混ざり具合とかもはっきり分かって、目の前に見えるみたいに聞き取れるし。(スピーカーを睨みつけても全然そこから音が出てるのを感じられないし、これって、タイムドメインで言ってるのとどう違うのかなぁ、と気になる。私なんかこれで十分、とか思ったりするけど。)
 ただ、このCD、録音が無茶苦茶優秀なんだろうな、というのは何となく感じられるので、RAL-HUBを通したASIO再生でも早く聴きたい。…のだけど、全然連絡来ないなぁ…。…て別にアレの時間軸補正がウチできちんと機能するかは未検証だから、今言っていても仕方ないんだけど。
 時間軸補正しなくても、取り敢えずそこそこいい音で聞けるはず、なのではあるが、もう最近では時間揺れ恐怖症みたいになっていて、時間軸素晴らしく音質もギリでセーフのEJ800以外で音楽再生をする気に、全くなれなくなってしまっている。多分ただのフォビアだろう、てのは分かってるんだけど、別に実験して確かめるのが目的ぢゃないから、こうなってしまうのだろう。
 特にこういう音源ではね。音楽と関係ないヒマツブシの実験みたいなことを、とてもする気になれないのである。