TPP/産経のご意見にケチ付けてみるテスト。

 いくら何でもひどいと思ったので、TPP三兄弟(中野剛志・東谷暁三橋貴明の三氏)や関岡英之氏の著書などを参考に、いろいろ書いてみるテスト。
(詳細で精密な批判は上記著者の著作など参照のこと。)
 逐次コメントを入れて引用し直したが、部分抜粋ではなく、以下で全文引用になる。片言隻句までの徹底的なだめっぷりに、驚嘆を禁じ得ない。

TPP 復興に構造改革は不可欠
2011.5.19 03:23
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110519/fnc11051903230000-n1.htm


 政府は当面の政策運営方針をまとめた「政策推進指針」の中で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加への判断を先送りした。当初6月をめどに判断する方針だったが、東日本大震災東京電力福島原子力発電所の事故対応を優先させたとしている。

 しかし、TPP交渉への参加先送りは日本企業の輸出競争力を弱め、日本経済の成長に大きなマイナスとなる。大震災からの復旧・復興を急がねばならない今だからこそ、TPP参加を通じた構造改革が不可欠だ。政府はむしろ、従来以上に交渉への積極参加を急ぐ必要がある。

TPPに参加したところで、非参加国(中国・韓国・ロシア・インド・アラブ諸国・アフリカ諸国・南米諸国・EUなどつまりその他の全世界)に対する輸出競争力は何も変わらない。参加国に関しては三橋氏の指摘するごとく唯一アメリカに巨大な内需があるだけで、それ以外の国にはどれだけ輸出を伸ばしてもアメリカへの輸出の数十分の一のポテンシャルしかない。肝心のアメリカは、オバマがもう輸入はせず輸出を倍増するとしつこく言っている。

 震災では多くの電機や自動車メーカーの関連部品工場が被災し、生産が一時停止した。これに電力不足が加わり、企業が海外へと工場を移転する空洞化を懸念する声もある。日本経済の原動力となっている製造業の危機的な状況を踏まえれば、TPP先送りの判断はありえない。

海外に新しく工場と発電所建てるコストがかけられるなら、国内の工場を再整備すれば良いじゃないか(怒)。ここで海外移転という発想が出てくる理屈が全く理解できない。法的手続きとか面倒をしてまで海外に移転するメリットは、現地の安い労働力を使ってコスト削減できるだけ。そして日本人は雇われず失業率は増大。

 日本の1次産業の国際競争力を強化する観点からもTPPは不可欠だ。

TPPに参加したって巨大なアメリカのアグリビジネスに乗っ取られるだけ。日本の企業に農業の国際競争に勝てるようなノウハウが育つまで、アメリカが待っていてくれるとでも思うのか。むしろ徹底的につぶしてくると考えるのか普通だろう。

津波で壊滅的な打撃を受けた農家や漁業者への手厚い支援が必要なことはいうまでもない。だが、そのことと1次産業の体質強化は分けて考えるべきだ。

分けて考えるというなら、体質強化のために手厚い支援を犠牲にするな。まず支援が先だ。

 被災した農家や漁業者らの大量廃業回避のため、「復興特区」の指定で規制を大胆に緩和し、企業化を進めるなどの構想も浮上している。要は現状の追認ではなく、生き残るための知恵と工夫をいかに出すかだ。TPPはそのきっかけにもなるはずだ。

その企業が国内企業であることを、TPPの要請する最恵国・内国民待遇が保証するはずがない。さらに労働力の移動自由化で過酷な低賃金競争が始まり、また、アメリカ型の経営者・株主と一般従業員との収入格差が激増して産業の魅力がなくなり、余計に絶望して二度と自ら積極的に参加しようとは思わないだろう。

 今回の大震災を機に、もともと国内に根強かったTPP反対論が勢いを増しているが、長期的視点に立てば、農業はじめ1次産業の競争力強化は避けて通れない。そのことを政府は、改めて肝に銘じなければならないだろう。

TPP反対論はもはや、農業はじめ一次産業だけを論点にするようなしやの狭さからは脱し始めているのだが…。その点を置くとしても、そもそも、その一次産業の担い手が日本人だと良いんだけどね。日本列島の農業が強ければそれがアメリカ企業でもいいというのか。

 TPPは米国や豪州など9カ国が11月の決着をめざして交渉を加速させている。与謝野馨経済財政担当相は「それまでには対応を決めなければならない」と述べているが、閣内の意思統一は図られていない。大震災を理由とした交渉参加の遅れに各国がいつまでも寛容であるとは言えまい。

カモである日本が入らなければ、参加国最大のアメリカにとって何の意味もないような協定なんだから、確実に日本が有利になる条件を出してこない限り、無視を続ければいい。関岡英之氏が『国家の存亡』で示すとおり、日本はTPP参加国のほぼ全てと何らかのFTAを含む経済協定なりを締結、もしくは交渉中であり、屋上屋を架すような協定は必要ない。

 TPPは安全保障の面でも重要だ。実質的な日米自由貿易協定(FTA)であり、日米同盟の強化にもつながる。

オリジナルTPP第19条2項…安全保障例外。日米同盟が米にとって固有の意義があるなら、経済協定何ぞとは関わりなく米は(…日本を侵略・自国化するのでもない限り…)同盟を維持せざるを得ない。vice versa

交渉参加への遅れは、その意味でも取り返しがつかない結果を生みかねない。

こ…こぇぇ…。