ATH-EW9 経過1。

 使用開始二日目。昨日はほぼ一日中使っていたし、最初の最初に比べて、だいぶこなれて来た。特に目立った変化としては、低音がかなり出てくるように。
 人の声の表現は、音圧の強いソリストの歌唱ではまだくぐれたりはするものの、既にかなり満足のいく音が出てきている。特に、過剰な表現を廃しているルネサンス音楽、特にソリストのアンサンブルと言える↓

Josquin: Motets & Chansons

Josquin: Motets & Chansons

では、各人の歌唱が明瞭にきこえ、バスでも音が滲んだりすることなく、天衣無縫のJosquinの音楽の魅力が余すところなく伝わるように感じられて、恍惚とする瞬間すらある。

 オーケストラなどスケールの大きな音源では、流石に無理に詰め込まれた感じはぬぐえず、

ブラームス : 交響曲 第4番 ホ短調 作品98

ブラームス : 交響曲 第4番 ホ短調 作品98

などでも、AD900と比べたら、同じT51で聞き比べても全く空間表現のポテンシャルが違うのが丸わかり(…て当たり前か…)。

 今この記事を書きながら聴いているのが

バッハ:ヨハネ受難曲

バッハ:ヨハネ受難曲

ソリストの歌唱、小型オルガンのくっきりした音色など上手く表現出来ているが、所々にまだ無理がちらほらと。ソリスト歌唱では特に強く歌われるところでは割れるような破綻が出る。多人数の合唱では、残響など倍音が少しごちゃごちゃしてしまう。バロック弦楽器がまだ線が細くシャカシャカしてしまって、だいぶしょぼい。

 弦楽器に関しては、

Live in Tokyo 2001

Live in Tokyo 2001

を聴いたときも、チェロの弓の擦音などで、きつくはないがまとまりのない散らかった印象の音になってしまうのを感じていた。

 全体的に摩擦音や金属音がまだ落ち着かず、

涙のパヴァーヌ ?リコーダー名曲集

涙のパヴァーヌ ?リコーダー名曲集

では、木管の鳴りは上手く出るけど、息や風きり音が少し暴れ、チェンバロはやけに薄っぺらく、突然音量が引っ込んでしまうように感じるところが。

cure
しまうま
谷山浩子ベスト 白と黒
辺りでは、金物ドラムス、オーバードライブギターのコード、バイオリン、弦楽器などで崩れてしまう。ただ、指引きのウッドベースハモンドオルガンなど、くっきりすることで魅力が出るものは、現時点で大分よく奏でる。


 音場表現がまだ少し微妙で、密閉型のES3なんかと比べると、上手く抜けていってくれる感じでだいぶ改善はするけれど、

UTAU

UTAU

では一部無理に声を聴かされているような、義務感を我慢しているようなストレスが残る。
 音場に関しては、小音量時にビット落ちのような聞きづらさが残り、音量をある程度上げなければ、浅い呼吸を強要されるような息苦しさを回避できないようなところがある。こういう部分、KENWOOD MG-F516で感じていたのと大分似たようなところがあり、またCD-WALKMANではかつて感じたことがなかったことも想うと、音場の狭さと小音量時のビット落ち感というのに、なにか聴感上の関連性があるのかもしれない。


 いろいろあるけど、基本的には音色も解像度も、値段に見合うだけの十分な精度が出ているし、これだけ軽量で装着にも持ち運びにもストレスなく、総合力を思えばこれは、かなりいい買い物であった、と言えそうな感じ。
 この音質クオリティで、自分好みの装着感の製品が市販されているのは、幸運といって差し支えない。