大事なのは何ぞ?

自分が音楽再生環境に求める、最も重要なことはなんだろう、などと考え。…というのは、今のところ、一番安心して音楽が聴ける手持ちの再生装置の組み合わせが、次の二通りという状況になっていて、大分反省しているので…。

  • その1… CD WALKMAN + SE-U55SX + SRS-Z1
  • その2… Transcend MP320 + ATH-ES55もしくはES3

ポイントを要約してみると、

  • ①質感の表現が必要十分。
  • ②時間軸が安定している。
  • ③ストレスフリー。

てことで、自分なりにはさらに

  • 本を読むときに邪魔にならない。

とかいう、身も蓋もないことになってる気がした。


 この評価軸で考えて、今のところPCからの音楽再生は、まだ十分に常用に耐える環境は、手元にない。具体的には、

  • USBDACとの機器の組み合わせで、まともなものがない。
    • RATOC RAL2496HA1…時間軸は申し分ないが、音の質感が、音楽用としては駄目すぎる。脳内補正でなんとかなる範囲にすら、遠く及ばない。
    • SE-U55SX…時間軸の欠点に気付いてしまったら、いくら音質が良くても、もうダメ。

といった感じである。


 また、上記③ストレスフリーという条件について、さらに考えを巡らしてみたところ、

  • 物理的なストレスが少ないこと

てことの他に、

  • 「自分が今何をやっているか」ということの確認コスト

てのが、意外と重要らしい、ということに気付いた。
 単純に手数ということで言えば、上記CD WALKMANコースでは、CDを棚から取り出してプレイヤーにセットして再生ボタンを押して、ケースをその辺の適当な場所において、前に入っていたCDをケースに入れて棚にしまって…、という具合で、パソコンをスリープモードから復帰させて数クリック、ということにくらべたら、だいぶ手間は増えている。
 しかし、PCを用いた音楽再生の場合、モニターを注視していないと目指す動作に正しくたどり着くことができない、という制約があり、自分の場合、それが相当に鬱陶しいと感じてしまうらしい。しかもこの場合、一連の作業を半自動化・半無意識化してしまうことが出来ない、というのも、結構なストレスである。体を動かして操作する、というのは、面倒なようでいて、大部分の操作の自動化さえ出来てしまえば、心理的なストレスは大分少なくて済む。
 上記MP3プレイヤーコースの場合、モニター注視という点ではPCと大して変わらないけれど、大事なのは、どういう風にでも液晶画面を確認できることで、PCのように机に固定されたモニターをのぞき込むという必要はない。また、自分の動作の確認ということでは、狭い画面でいちいち行ったり来たりを繰り返して目標曲を選ばないといけないわけだが、どういうわけかこれも、慣れてしまえば大したストレスにはならない。


 この点について一つ思い当たるのは、動作確認の際の脳の使い方のモードに関すること。PCの広い画面に沢山の情報を表示して、一目で目標物にたどり着くのと、一つ一つの動作を時間順序的に辿っていくのでは、脳の情報処理の様子は大分違っているはずである。音楽の時間的な形式とのアナロジーと、関係あるのか無いのか正確には分からないから、当てずっぽうにいうのだが、なるべく視覚に頼らずに操作する方が、脳が「音楽を聴くモード」に素直に移行してくれる、てことがあったりしないだろうか。
 また、PC操作の心理的ストレスは、「カーソルを合わせる煩わしさ」ということに、もしかしたら要約出来るのかもしれない。ノーミソとしては、手の動きとカーソルの動きの対応を保証する表象操作が必要になるが、棚に手を伸ばしたりなどの単純な身体動作の場合、こうした表象操作はほとんど自動化してしまっているはずである。また上記MP320の小画面での操作は、左右をフォルダ階層移動、上下ボタンをフォルダ内操作というふうに明確に機能を分けているので、表象操作は単純である。PC画面上のカーソルの場合、その都度その都度位置が違うし、動かす際にもいちいち細かく気を遣う。また、どうしても意識的に確認>操作という手順を踏む必要があり、自動化をすることが出来ない。
 このあたり、「音楽を聴く」という手続きの中に、どうしても取り除けない質的に異質な障碍が残ってしまう気がしてならない。
(この点でいえば、例えばiPadなどからLAN-DAC経由での音楽再生、てのは、画面位置の自由さに加え、タッチパネルの直感性も手伝って、結構快適な再生環境として使えるかもしれない。ただし、ただのライブラリ管理の道具としてはiPadはでかすぎるし(多分)重すぎるし、値が張りすぎる。)


 こういったことどもは、総合的な音楽再生経験について考える際に、もう少し考慮に入れていいような気がする。

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 等々、USB出力環境の現時点での出来の悪さに始まって、PCでの音楽再生ということ自体に反省をし始めてしまっているのが、最近の流れ。
 で、明確に上記の3条件を満たすことを狙っていたわけではないが、PC環境より先に、取り敢えず最初にこれを注文しておいた。


 またそれとは別に、オーディオにおけるPC利用に対する反省の表れと考えていいのか判らないが、最近、民生用の新しい単体CDレコーダーが発売されていたのを知った。

TEAC CDレコーダー シルバー CD-RW890-S

TEAC CDレコーダー シルバー CD-RW890-S

http://www.teac.co.jp/audio/teac/cdrw890/index.html
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20100924_396052.html
 少し前にちょっと調べていたとき、この手の製品はもう終息したと思ったばかりだったので、ちょっと驚いた。記事の方には、要望が結構あった、というふうなことが書いてあるが、どういう理由でこういう要望が出てきたのか、という点、ちょっと興味がある。