本など。

経済学の名著30 (ちくま新書)

経済学の名著30 (ちくま新書)

日経新聞を「正しく」読んで 最新経済に強くなる本 (日経電子版対応)で紹介されていて。そこも引用があったが、以下の序文を読んで思い当たるのは私だけではあるまい。

 経済学の古典の世界へようこそ。読者をその豊穣なし策の宇宙へと誘うにあたって、案内の方針を説明したい。
 その方針とは、取り上げた三十冊にかんし、それぞれの著者の意図をできる限り再現し、歴史的な経緯もふまえて紹介すること。「なあんだ、当たり前じゃないか」と思われるかもしれない。しかし単独の著者による「経済学説史」と銘打たれた類書で、この方針が守られることは滅多にない。政治学社会学、宗教学といった他の分野かすれば、不思議なことと思われるかもしれない。いかにして現著者の意図を厳密に理解するのかが学説史家の使命であり、様々な学説が構成する思索の全体がそれぞれの学問であるのだから。
 ところが経済学には、異なった傾向がある。多くの古典の解説(たとえばサムエルソン『経済学』における学説史の部やマルクス派の教科書)が、特定学派の優位を示したり、その由来を説明するために書かれているのである。そうした傾向は、学派の共存に寛容でない、つまり単独学派の独占状態をあえて忌避しない経済学に特有の風潮に由来している。

政経音痴の私なので易しいタスクでないのは変わりないから、じっくり噛み砕いて読み進めたいね。


これでわかるTPP問題一問一答―日本を崩壊させる58の危険

これでわかるTPP問題一問一答―日本を崩壊させる58の危険

書店で見かけてそのまま購入。TPP批判に関する標準テキストになり得る、人にも勧めやすい書籍が出てきてくれたな、という感想。
 TPP批判の言説はもはや至るところで見ることが出来るが、原理的な問題点はそこで理解できても、私のように、現在までの日本の自由貿易化の流れに疎く、全体像をまとめて把握するのに幾分苦労している人は結構多いんじゃないかと思う。
 本書では、そうした基本のところから、しかし議論のレベルを徒に下げることなく、文書資料を日常的に扱う人の標準的なリテラシーがあれば、きちんとポイントを押さえて全体像を把握することが出来そうな、上手い編集になっているんじゃないかと思う。