鳥取市新市庁舎問題。

全国区では菅直人のTPP参加表明が批判を喰らっているわけだが、わが鳥取にも、負けず劣らずの唐突さで表れた、公論無視の愚行が進行中である。すなわち鳥取市新市庁舎問題である。最近、事情に詳しい知人と話したことを、以下にまとめる。


 批判を受けているのは主に以下の点。
 まず、施策自体の適切さ云々の前に、話の進め方に著しい不備がある。
・竹内鳥取市長は、選挙の際にこの問題について一言も言及していなかった。150億円という事業の規模や、発表後の展開の速さを想えば、以前から温めていなかったなどということは、とうてい考えられない。選挙民に対する全くの背信行為である。
・例に漏れない、名ばかりの「有識者会議」。鳥取大学元学長などが名を連ねているが、会議は「一回30分」が「16回」に亘って開催されたらしい。
・平井鳥取県知事が、こうした状況と市民の批判に鑑み、市長に対して住民投票の実施を提案したが、「住民投票のために4〜5千万の費用がかかる」などとしてこれを退ける。
 150億の事業規模に対して僅か0.3%の出費に過ぎないのだが、喩えて言えば、150万円の買い物をするときに、それが無駄でないかどうかを確かめるために、数千円をかけて下調べをするのと同じで、少しの非合理もない。金額が膨大なのは、事業自体の規模が、人口20万ばかりの市にとって、余りに非常識な巨大さであることが、そもそもの問題である。

 
 施策自体の問題点は、以下。
・建設の必要性がきわめて疑わしい。
 市長の主張によれば、
①市役所の業務を一カ所に集中することで、業務の効率化が図れる。
②駅のすぐそばにあることで、住民アクセスを改善できる。
>以下の引用先を見れば解るように、市民が直接来庁して重要な諸手続を行う部署は、かつてのダイエーの広大な床面積を利用した、駅から歩いて数分の駅南庁舎の一階に、すでにほぼ集約済みである。駐車場に関しても、庁舎の少なくとも2フロア分が確保されている。
http://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1189601556015/index.html
http://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1189597043023/index.html
 また、行財政改革課、都市企画課、道路課、鳥取砂丘ジオパーク推進室、観光コンベンション推進室、企業立地支援課、経済戦略室、雇用創造推進室、林務水産課、農村整備課、農業振興課、全国豊かな海づくり大会推進室、教育総務課、文化財課、農業委員会事務局、建築指導課、都市環境課、都市企画課、行財政改革課、市街地整備室、中山間地域振興課、企画調整課、文化芸術推進課、その他諸々、交通アクセスによる住民の恩恵のある部署が、一体どれだけあるというのか。特に、農林水産関係などは、合併前の旧町役場、現在の各総合誌所に配置した方が、効率的ですらあるだろう。
 こういう場合むしろ、人の流れや物資の無用な集中を避けるために、分離して配置した方が、上記の重要手続きのために来庁する市民にとっては、煩雑でなくて良いに決まっている。
 それに、である、そもそも、本庁舎と駅南庁舎との距離は、車でせいぜい十数分、信号に引っかからなければ5分もあれば行き来出来る程度の距離しか離れていない。直接対面がいらないようなやりとりはメールで済ませれば良いし、そうでなくてもせいぜいがこの程度の移動時間である。
 本庁舎への交通アクセスに関しても、少し回り道もあるが、鳥取駅から100円バスがすでに整備されている。それで足りないというなら、若狭街道をただ上り下りするだけの便を追加すればいい。十分な需要が見込めるはずで、あれば私でも必ず使う。
 これらを考えれば、現在の部署の配分は、理想的かどうかは解らないが、すでに十分に快適なアクセスが実現しているといえ、これ以上の集約化・アクセス改善などは、屋上屋を架すような全く非現実的な話である。


思いの外長くなってしまったので、この辺でいったん区切る。論点は他に、
中心市街地の活性化
東日本大震災を受けての耐震強化
など。