河本叩きの構図を図式化してみた。

取り急ぎアップ。未完だけどとりあえず骨格は書けたので。追記しなければならない情報もまだまだたくさんありますが…。時間が取れないが土日にはもう少しまとめたい。
主にツイッター経由での情報だけど、現在位繰り広げられている河本、生活保護叩きはかなりやばい気がしている。
しかし参加するプレイヤーもコミットメントのあり方も非常に多用で複雑なので、とりあえず整理するための構図の視覚化を行なってみた。
特に解説というかコメントの部分はまだとっ散らかってるけど、図の方は他人様の役にたたないこともないかな、とおもっている。

以下、本文。
(注! 以下はまだ未完で、ソースの提示なども著しく不十分ですので、筆者の主観的判断として見ていただくようにお願いします。)

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今回の騒動では、「扶養義務」というタームについて、道徳的な側面と法的な側面での批判が入り乱れ、もしくは意図的に混同されているようにすら見えることもあって、そのあたりが明確になるような視覚化を試みてみました。
凡例
主体間の関係を矢印と枠で示しました。

  • legal/moralな側面の仕分け
    • 青矢印…legal、つまり法的・制度的な側面に関わる関係性を示しています。
    • 赤矢印…moral、つまり道義的・倫理的・規範的な側面に関わる関係性を示しています。
  • 枠の囲み
    • 四角囲み…主体間のコミットメントの内容を示します
    • 丸囲み…コミットメントについて、それを現実化するための手段を示します。

・事の起こり
 はじめ片山・世耕両議員(以下「二議員」)は、法的な点に関して、入手した情報より「不正な受給が行われています」という問題提起をしたようです。この時点では、河本の名前も伏せられていたとのこと。片山氏によると、日刊サイゾーが河本の実名を公表した報道をします。これを受けてなのかどうか、ともかく、二議員も河本の名を公表したようです。


・最大のトリック「扶養義務」

 はじめに、当事者である河本氏の母親と、扶養義務が期待される親族である河本準一氏との関係。この関係を太い矢印で示しました。
 今回の騒動での最大のキーワードであり、トリックであるのが、「扶養義務」という言葉でしょう。
 文脈的な補足がなければ、この言葉は、legalな側面とmoralの側面との、二通りに解釈することが可能です。ここでは、legalな面での法的なコミットメントは「義務」、moralの面での心情的なコミットメントは「義理」と、それぞれ書きました。
 河本氏の場合、母親に対して法的な側面では「義務」、道義的には「義理」という二通りの関わり方が期待されています。
 それぞれのコミットメントに対する「手段」は、legalの側面での「義務」に対しても、moralの側面での「義理」に対しても、共に「経済的援助」です。


 同時に確認する必要があるのが、ギャラリーと河本氏との関係。
 ギャラリーから河本へのコミットメントは、legalな面においては「不公平感」、moralな面においては「義憤」としています。
 「義憤」とはつまり、「子供は親の面倒を見るべき、しかも自身に経済的余裕があるくせに、援助しないとはどういうことだ!」といった憤りです。「不公平感」とは、「自分たちよりはるかに稼いでいるんだから、税金に頼る以前に自ら負担すべき」といった、公平さへの希求に基づく意見です。
 重要なのは、河本が母に対して取りうる手段がいずれにせよ「経済的援助」であるため、「義憤」「不公平感」の現実化のためにギャラリーが取る手段もまた、「河本が親を援助しろ」という、同一の批判となって現れることです。
 これらの要因により、二議員は、legalな面での批判も、moralな面での批判も、結果としては区別なく、自らへの「支持」として取り付けることが出来る、という構図です。


・ギャラリーと河本母との関係
 この点は特に指摘は見つけられなかったのですが、個人的にとても気になったことですので。
 ギャラリーと河本母は、legalにはこの場合「租税」という形で行政を経由して間接的に関わるのみなので、特に関わりがないため、ここにはmoralの側面だけ示しています。
 河本と母親の関係のあり方を見て、ギャラリーに起こり得る感情としては、「親の面倒は子供が見るのが常識」という批判からも分かる通り、河本母に対する「同情」が代表的なものと見てよいでしょう。
 では、この図の方法に従って、このコミットメントに対する手段を考えると、どういうことになるでしょうか?
 筆者としては、ギャラリーから河本母への「経済的援助」、つまり、「かわいそうだと思ったなら、自分が手を差し伸べればいいんじゃない?」などと思うわけです。しかしそのような申し出らしきものは、おそらくなかったのではないでしょうか。勘ですが。
 そのような義理はない、と言われればそれまでですが、それにしても、「河本の姿勢にかかわらず、きちんと生活保護を適用しよう」というでもなく、河本に扶養を求める批判ばかり、要するに、河本母を哀れみ同情して見せながら、「おれは知らんからな」と威張っているわけです。
 果たして、このような批判に、legalな面ではもちろん、moralの点においても、正当性を付与することができるでしょうか?
 こうした点を見ていて、今回の批判は「道徳的」な批判なのではなく、「規範の不履行」に対する批判であると考えたわけですが、さて。


片山さつき氏の行動について
 最初の批判としては、「母親に対する扶養義務を果たしていない」という、legalな側面での問題提起だったようです。
 酷かったのは、その後の片山の、ギャラリーに対しておこなったインフォームの内容でした。
 「何がどのように不正なのか」というlegalな側面での説明も不十分なままに、もっぱらmoralの側面で感情に訴えた宣伝を始めた様相です。
 いくつか図示していますが、順に見ていくと、
・「血税」…財政が厳しい時に、自身が高額所得者でありながら親族を扶養せず、生活保護によって血税を掠めています、という具合です。また、デーブ・スペクター氏の発言を引用したツイートを、RTしています。

N@ (怒るシェパ子) ‏@Nao0410
それが普通の感覚ですね。 RT @Teruzuki19: @katayama_s @Nao0410 @JP_Quest デープさんが言うには米国では不正受給の疑惑がかかったら警察が盗撮してまで証拠を探すらしいですね 国民の税金(cont) http://tl.gd/hikbu1
3:14 PM - 26 May 12

・「不当」…自身が高額所得者であるのに母親に生活保護を支給させたせいで、本当に必要な人に生活保護が行き渡りません、という具合です。
・「不孝」…親の面倒は子供が見るのが常識です、こいつは親不孝ものです。
そして極めつけ、
・「在日」…片山氏は、以下のツイートを、おそらく肯定的に、RTしています。

Nao0410
似非日本人があぶり出されてますね。日本人の美徳は武士は食わねど高楊枝。貰えるものは貰え、は半島の美徳。 RT @JP_Quest: ╮(•́ω•̀)╭ ハムスター速報 : twitter河本準一生活保護不正受給を擁護し始め(cont) http://tl.gd/higfap via twicca
2012.05.26 07:49

片山氏についてはなんとなくフォローしていましたが、このRTを見た時、はじめは何かの間違いなのかと思ったほどです。
他にも、

mameshibainjp
拡散ですね@beatDPJ河本擁護に在日が動き出した!! RT @JP_Quest: 正体バレバレじゃんwww RT @utampo01: @koesoft @masa11i @katayama_s 以下にまとめあります。http://minkara.carview.co.jp/mobile/0/0/0/userid/603678/blog/26613655/?guid=on  #fb via web

2012.05.29 00:49


 こうした中で二議員らは、吉本興業への聞き取りを行っているようです。本人らの言によれば、吉本側の返答が不十分であったせいで、不正を具体的に確認することはできなかったようです。公開されているものを見る限り、吉本側が疑惑の残る不十分な対応をしたことも確かなようです。
 ここで問題にしたいのは、そうした吉本側の対応に対し、片山と世耕が吉本側に突きつけたのが、「道義的な提案」であったことです。legalな面においてきちんと証拠を揃えるまえに、moralな側面での要求をつきつけたのです。(上手ではそのため、片山氏と河本とのコメントにおいて、コミットメントと手段がちぐはぐになっています。)
 本来ならばここで、「legalな不正を追求しているのなら、まずそのことを証明せねばならないはず、それを置いておいてmoralな対応を求めるのはおかしい」と批判するのが道理(実際に私のTL上ではそのような意見がいくつも見られました)ですが、河本批判者はそんなものはお構いなしの体です。legalな面とmoralな面の区別もつかないままひたすら感情的に批判の声をあげます。


・あまりに残念な帰結
 これまで書いてきた如く、ややこしい構図を伴って事態が展開したわけですが、このことによる政治的な決着点は、あまりにも馬鹿馬鹿しいものと言わざるをえないものでした。
 一つは、所属事務所の吉本への「同義的な提案」を受けて、河本氏への記者会見が行われ、河本氏は謝罪し、返金する旨を発表しました。
 これについて片山氏は、「最大の目的は果たせた」旨の発言をしています。
http://mainichi.jp/sponichi/news/20120526spn00m200002000c.html
つまり、個別ケースの不正受給を法的に裁くことではなく、「タダ乗りは許さない」というメッセージを周知することが、目的だった、ということでしょう。
 

 もう一つ、これが今回の最大の問題だと思うのですが、この騒動を受けて、国会にて小宮山大臣は、「生活保護の支給額の削減」を表明してしまいました。
 「個別ケースの不正の摘発」に始まり、河本親子の不正の法的な証明も不十分なまま、所属事務所やギャラリーを巻き込んだ狂想の果てに、政治的には、そもそもの主要な課題の一つである「正当な受給資格者の捕捉率を上げること」、また「不正受給を減らす」ことに、どれだけ役立つのかもわからない方向へ、国権の最高機関である国会が、動いてしまったのです。

 



 各トピックについてまだまだ追記すべき情報がありますが、時間が足りないので適宜更新していきたいと思います。
 繰り返しますが、ソースの提示など不十分なため、あくまで筆者個人の主観的印象程度のものであることをご了承ください。
 この問題に興味を持ってご自身でよく調査して頂くきっかけになれば幸いです。

関連リンク
生活保護制度に関する冷静な報道と議論を求める緊急声明
http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-33.html

noiehoieさんによる抗議の意見広告企画
http://civilactionjapan.blogspot.jp/