時間軸と振幅軸の感度の体調による揺れ。及びその他雑感。

タイトル通り。
 楽器なんかやってると、疲れたり風邪引いたりなど体調の悪いときには耳が悪くなる、てのは何度も経験してるが、振幅/時間軸という点で見てみると、新しい発見があった。

  • 体調がいいとき、十分に休んだ後(起床後など)では、時間軸に対しては許容範囲が広がるが、振幅軸に対してはシビアになる。
  • 疲れているとき(帰宅後など)は、時間軸に対してかなりシビアになるが、振幅軸に対してはあまり頓着しなくなる。

なので、「起き抜けでガサツな音を聞く」とか「仕事帰りで時間軸揺れの大きいものを聞く」とかすると、ヘッドホンを頭からむしり取ってブン投げたくなる…てほどバイオレンスではないにしても、それなりに大分うんざりしてしまって、「こんなはずではないのに」となってしまう。
 この「こんなはずでは…」というところ、振幅/時間という二軸評価を導入すれば、不備のある機器でも使い分けによって十分にやり過ごせることが解ったわけで、この辺は揺れすぎバス問題を通過することで得られた貴重な教訓であった。
 実際、起床後の今、E707光>SE-U55SX>AD900で、

しまうま

しまうま

をしばらく聞いているが、打ち込み系の「6.しまうま」などでは、わずかな時間軸揺れは殆ど気にならないし、ピアノと歌メインの「ねこ曜日」「空のオカリナ」なども十分に綺麗な音で、浸って聴けてる。


 このへんの使い分け案に自信が持てた要因はもう一つ、数年前オモチャぐらいのつもりで型落ち品を安く買ったSONYのDAN-Z1というデスクトップオーディオシステムを、久々に引っ張り出して聴いてみたのも大きい。
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020131/npp22.htm
この紹介記事にもあるとおり、機能的には結構便利そうで面白いけれど、アナログ系が大雑把過ぎ、同じスピーカー形状のSRS-Z1とは比較にもならない音質であるとか(音場や「スピーカーから聞こえる感じがしない」というあたりは遊べるのだけど)、CD再生時にPCのドライブみたいな冗談みたいな回転音がするとか、いろいろ残念なところがあってすぐにお蔵入りになってたわけだが…。
 E990が逝ってしまって、その中継ぎにちょっと取り出して使ってみたわけだが、特にヘッドホンで聴いてみると、繊細さなど殆どない「元気」すぎるチューニングの音ではあるものの、時間軸の方はまともであるので、昨日など試験監督後の割と神経がすり減っていた時にバッハ:ヨハネ受難曲ブリュッヘン指揮18co)を聞き始めたら止められなくなって、いつの間にか寝入っていたり…など、してしまって、つまり、鈍くなった耳には音のがさつさはそれほど気にならず、見事な時間展開を持った音源をきちんと揺れのない時間精度で再生してくれたお陰で深い呼吸ができた、というようなことになったのであった。


 また、時間軸精度が自分にとってかなり重要だと意識するもう一点は、この「深い呼吸が出来る」という点であったりする。*1
 時間軸精度の悪いもの*2で聞いていると、この点がさっぱりダメで、確かに音色は美しく解像度も素晴らしくても、何処か神経がとがったまま休まらず、呼吸はずっと浅いままになってしまう。さっぱり気にならないとか、経験がないとかいう人には、もう与太話かオカルトにしか聞こえないと思うが、時間軸精度のまともなもので聞いていると、私の場合、その辺の本が読みたくなって勝手に手が伸びたりとか、今こうして書き物をしてても「無駄に」と言ってもいいぐらい筆か進んだりとか、するのである。時間軸精度が限界を超えて悪くなると、こういうことがなくなり、CD WALKMANに戻してから、そういえば自分の場合、PC直出しのいい加減な音質&時間軸マトモ、とか割といい加減な音源のかけ流しで、これまで読書を促進してきたのだ、ということに改めて気付いたのであった。


 そんなこんなアレコレ経験しているうちに、全然実証的な根拠はないのだけど、時間軸の揺れがもたらす違和感について、多少思いつくことがあり。
 聴覚情報としては明らかに検知限界以下であるのに、はっきりと違和感として感じられる…というのは、これは多分もう聴覚の問題ではないのではないか、ということで。といっても第六感とか超能力とかいう話ではさらにない。
 音楽を聴いていて、テンポがずれる、だとか、音程が伸び縮みする、とかを感知できるのは、そもそも信頼できる座標が、人間の中にあっての話で、要するに聴覚によって現実認識をするためのフレームというものが、そもそも備わっていなければ、こういう認識というものはあり得ないはずである。それがどういうメカニズムで成立するのかは解らないが、取り敢えずそういうものが存在すると仮定して、時間軸揺れというのは、そのフレームワーク自体を狂わせてしまう、下意識の物理的影響を、皮膚感覚や運動感覚に与えるのではないか、とかいうこと。
 この辺はどのように実証すればいいのか、方法は思いつかないけど、例えば24bit96kHzの音源などで、聴覚上は聞き取れないけど明らかに空気感が違う、とか、その辺りがヒントにならないか、という気もする。

*1:尤も、KENWOOD MG-F516は時間軸が問題ないにも関わらず、音場の狭さに起因する息苦しさがあったから、一概に時間軸だけが問題とは言えないけれど…。

*2:USBDACほか、手持ちの安いDVDプレイヤーもそうであったとこの度判明した。