読書メモ『国家の存亡』。
読了。
- 作者: 関岡英之
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2011/04/21
- メディア: 新書
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同著者の『拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる (文春新書)』も、私はリアルタイムで読んでいて、その後の郵政解散総選挙で空恐ろしい思いをさせられた一人であった。
TPP問題に関して、賛成派の奇論・珍論は、中野剛志が『TPP亡国論 (集英社新書)』などでめった切りにしてくれていて、本書ではその点は控えめにしか触れられていない。
本書ではむしろ、中野氏がより本質的なものとして指摘する、戦後日本の日本人の心性と、著者がかねてから指摘し続けている米国流の対外政策を、より深くえぐるような著作に仕上がっている。
特に見所は、『拒否できない日本』の著者ならではの、年次改革要望書とTPP、両者を巡る議論の類似性を、見事に描いてみせるところだろうか。
両者の類似は、著者があとがきで取り上げている二つのフレーズ──「開国しなければ取り残される」と「改革しなければ取り残される」──が、改革の「か」の字と開国の「こ」の字(…ローマ字ベースで言えば、わずか一文字、 a と o の違い)だけの違いという芸のなさであることに、いみじくも象徴的に現れている。
実際に、著者が描いてみせる両者の基本的構図というのは、このフレーズに負けず劣らずの類似っぷり(?)である。