読書メモ『中世・ルネサンスの音楽』

中世・ルネサンスの音楽 (講談社学術文庫)

中世・ルネサンスの音楽 (講談社学術文庫)

取り敢えず通読、最後の方は流し読み。
 特に気になったところでは、バロックとの断絶に触れたあたり(第五章終わり)。
 いわゆるルネサンス音楽とは、その他の文芸分野におけるような古代復興というよりはむしろ、中世を通じて発展してきた様々な多声音楽の綜合の過程であった。古代復興という意味でルネサンスに先鞭をつけたのは、父ガリレイの著作などに始まる古代の音楽劇の再興を目指したもので、そこからはむしろ、「ゲネラルバスを持つモノディ様式」というバロック様式の萌芽が見られる、と。
 ナルホド。
 ベートーベンの第九を年末にやった際に感じていたこととも一脈通じる部分があって、つまりベートーベンの音楽のもつ「脱バロック・古典派」的な印象は、なにもロマン的志向の先駆けだけではなくて、対話的なものから響きへの志向という回帰的要素もあるのでは無いか、という。
 この辺は今後の検討課題。

 
 他に面白かったのは、教会だけでなく世俗音楽に目を向けると、長・短調的な傾向がすでにルネサンス以前から現れており、別にバロック時代の独創というわけでは無かった、というあたり。

 他にもいろいろ、面白い本。また再読することにして、取り敢えず耳の方で確かめるのをぼちぼち進めたい。正月に頼んだこれは、

Josquin: Motets & Chansons

Josquin: Motets & Chansons

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