【読書メモ】『イスラーム帝国のジハード』(読了)

3月15日

増える興亡の世界史 https://pic.twitter.com/jnkX7l2NBd
posted at 23:50:12

興亡の世界史シリーズを去年から読んでて中央ユーラシアのメジャーどころにはだいぶなじんだけども、チベット高原の事情についてはまださっぱり知らない。


3月16日

イスラーム帝国のジハード』、第1章を読んだ。セム的一神教の一派としてのアラブの揺籃、アラビア半島の地理的条件など。


3月22日

疲れ切った腰痛のオッサンがカレー食いながら『イスラーム帝国のジハード』読んでる光景
そーいや第2章読み終わって第3章に進んでた。
アラビア語の地名や人名が全く憶えられないのだけどアラビア語勉強したら憶えられるようになるのかな
語感がさっぱり分からんよね……


3月27日

第3章読んだ。


4月2日

第4章読んだ。マディーナ時代のイスラーム共同体の発展、マッカの征服、ムハンマド死後のビザンツササン朝への勝利、等。


興亡の世界史、『シルクロード唐帝国』『モンゴル帝国と長いその後』『オスマン帝国500年の平和』『スキタイと匈奴 遊牧の文明』と読み繋いできて、中央アジアの歴史を経由して漸く、いくらかすんなりとイスラムの歴史を読める感じになってきた。
伊東俊太郎井筒俊彦をちょろっと読んだりもしつつ、地域の距離感とか、時間の座標感覚とか、人口や軍の規模の印象とか、そのあたりがつかめないからどうも抽象的にしか分からなかったけど、幾分具体的にイメージをつなげられるようにはなってきたな。


本の続きがいよいよ面白くなってきたけども明日のために打ち切らねばならない。つらい。


4月8日

第5章読んだ。版図の拡大に伴って限界を迎える正統カリフ制、帝国としての原理と制度を整備していくウマイヤ朝、など。
ATOK先生におかれましてはウマイヤ朝よりも美味い野鳥が優先されるご様子です。
第6章読んだ。新参ムスリムの地位の不平等の問題、シーア派の登場、イラン東方ホラーサーンに始まる革命運動、ウマイヤ朝の終焉。アッバース朝の成立、バグダードの建設、文化の成熟、内乱期を経て登場するカリフ直属の私的職業軍人の登場。等


4月11日

第7章読んだ。広大な版図にまたがる貿易ネットワークを背景としたバグダードの反映、大規模な翻訳事業、アラビア科学や神学の発展、ウラマー集団の登場。など


4月14日

第8章読んだ。ファーティマ朝の勃興とカイロの建設、並び立つカリフ、モンゴルによる征服とイスラム化するイル・ハン国、多極化するイスラム世界、イブン・バットゥータの大旅行記、など。


4月15日

第9章読んだ。オスマン帝国の解体を経て消滅する向かうイスラーム世界、体制の衰退の中でのジハードのあり方、西洋列強の植民地支配を経て勃興するナショナリズムの流れ、パレスチナ問題、など。
アフガーニー、アブドゥ、リダーらのイスラーム改革の話で、消滅していくイスラーム世界の中で、雑誌という媒体を用いたというのが近代近代してて面白かった。


しかしあれですね、イスラーム通史を見てると、イスラエルってナショナリズムの化け物みたいな国なんだなぁ、とかいう感想が出てくるね。(国際政治素人並みの感想


“「テロをめぐる短絡的な議論がいかに間違っているかは、多くの書で論じられている。イスラームのジハードを論じる本書では、そのことを検討するのではなく、より的確な設問をしてみたい。それは、「過激派はいかにジハードの理念を武装コウゲキの正当化に用いているのか「イスラームの理論では、どのジハードが許容され、どのジハードが過激派の逸脱とみなされるのか」ということであろう。 ジハード思想は、もともと、人間が内面の悪と戦うことから始まっている。…」”


4月16日

イスラーム帝国のジハード』、読了。とても面白かった。

引用
" もう一つの大きな問題は、「過激派」の誕生であった。この場合の「過激」とは、共同体のコンセンサスに従わないことを意味する。
…初期イスラームにおいて内乱や分派の誕生などの問題が生じて、イスラームとは何か、正しい信徒のあり方とは何かをめぐって、混乱した時代があった。ウラマーたちは、それに対する解答を生み出すとともにその「解答」の力によって自らイスラーム世界の宗教指導者としての立場を確立した。
ウラマーたちの処方箋は、四つの鍵を持っていた。一つ目は、ウンマの一体性を重視し、他人の内面を問うて争わないこと。二つ目は、社会のイスラーム性はイスラーム法によって保障されていること。三つ目は、イスラーム法の解釈権はウラマーにあり、一般信徒は(統治者も含めて)ウラマーの指導に従うべきこと。四つ目は、統治と軍事(剣のジハード)は統治者にあずけ、私的に行わないこと。"
pp.335-336